緑内障3:失明の不安

緑内障のイメージ

日本眼科医会より

最近はテレビでも度々放映される緑内障。それは。 

早期にはなかなかみつからない。
40歳以上の人の5%が緑内障。
放っておくと失明する。
日本では最大の失明原因。
早期発見、早期治療が大事

だいたいこんなイメージでしょうか。これは2000年頃の少し古い数字ですが、今もそう大きな変わりはなくて、5%と言えば20人に1人が緑内障。60歳を越えると10%、80歳になると大概の人は緑内障か、その一歩手前ということになってしまいます。
決して稀な病気ではなく、遺伝傾向が強いので家族に緑内障の人がいる方は、特に注意が必要です。

失明とは

ではその失明をするとどんな暮らしぶりになるか。失明というと光が全くなくなった、闇の世界を想像すると思います。しかし、それは本物の医学的失明で、結構稀な状態です。身体障害者手帳が交付される視覚障害の第1級は視力が0.01以下、生活に不自由を感じる社会的失明の基準は、よい方の目の視力が0.1以下です。
これは日本やアメリカの基準で、WHOはまた少し違った基準を用いますが。

では視力が0.1になるとどんな暮らしになるか。例えば囲碁が打てる視力で、着替えや食事もできる。住み慣れた室内であれば、はた目にはあまり不自由を感じない生活です。ただ、外出をすると、一方通行や一時停止の標識などは、見落とすかもしれません。


一般的に失明といえば、この社会的失明をさすもので、調査の方法によって多少の違いはあるにせよ、日本には約20万人がいます。

失明原因の第1位とされる緑内障による失明は、このうち4分の1から5分の1を占めて、4~5万人です。一方で緑内障の推定患者数は約400万人。緑内障と言われても、社会的失明にいたるのは100人に1人くらいです。失明の数は第1位と言われても失明率という面から見ると、そう大したことはない。

一方で網膜色素変性症という病気による失明者は緑内障患者の約半分で、2~3万人です。でも、緑内障患者が20人に1人と言われる一方、網膜色素変性症患者は5000人から1万人に1人です。多く見積もっても、推定患者数は2万5千人。緑内障の400万人とは桁が違います。

緑内障患者の100人に1人が失明をするとすれば、網膜色素変性症患者は高齢になるとほとんどが 失明をするという勘定になってしまい、その恐ろしさは緑内障どころではありません。

緑内障とはこんな病気ですから、あなどると人生の後半にとんだ後悔をすることになるかもしれません。それは肉体的にも精神的にも生活空間が狭い範囲に限られてしまうことです。
一方で、常に失明の不安に怯えるような生活をしては、人生そのものが苦痛になってしまいます。

緑内障の病期と年齢、それに眼圧などのコントロールがわかれば、生涯どの程度の視力が維持できるものか、およその予測をたてることもできます。もちろん占い師のように断定ができることではありませんが。
 危ない
 長生きすると危ないかもしれない
 多分大丈夫

とても大雑把ですが、自分の病状についてある程度把握ができれば、余計な不安もなくなります。ただし、人生百年と言われるようになった今日、緑内障が進行する期間も長くなったので、昔より少し厳密に管理をした方がよいかもしれません。
80代、90代になってからも、なるべく快適な生活を送るために、早期発見が大切なことは、最初に記した通りです。

緑内障3:失明の不安” に対して1件のコメントがあります。

  1. 下山美津江 より:

    いつも楽しく拝読しています。
    強度近視で緑内障、黄斑下出血で歪みも出てしまい、土坂先生成尾先生のお世話になっております。
    50代ですが、いつか失明してしまうかも、という心配がいつもつきまとい、あと10年くらいで死んでしまってもいいかも、と悲観的になったりしますが、今回のお話で、具体的な数値をご提示いただき、少し不安が和らぎました。目の不調はメンタルと深く関係している気がします。やみくもに恐れるのは一番よくないですね。
    これからも様々な情報をご提供いただけると嬉しいです。

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