院外茶話
温泉癒し旅1:陽だまりのバス停

沢渡温泉  毎日同じような暮らしをしていると、無性に旅がしたくなる。そんな時にはなるべく自然の豊かな温泉場を探す。ただし、いつ気が向くかわからないので、直前になって人気の宿を予約するのは難しい。そこで狙うのは、比較的小さ […]

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院外茶話
老いの達人

出立 義父は皮膚科の医師である。長年尾道で開業医をしていたが、80を越えて今年はやめる、来年はやめると言いながら数年が経ち、5月8日、半世紀の間続けた医院を閉じた。最後の診察日には3人の患者が訪れた。 義父が尾道を出立し […]

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院外茶話
最高の余暇

今日は明日のために 働きすぎと言われていた日本人のなかでも、最も忙しい日々を送るのは多分30代。30代の人たちを中心に、日本人が思い通りにもてないのが余暇。その少ない余暇を、人々はどう過ごしているのだろう。 天気がよい日 […]

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こころの生い立ち
こころの13:心の舞台

知能の進化 道具、火、芸術あるいは言葉、宗教など。 人と動物の違いと言われたけど、猿は石の斧を使うし、ウグイスは必要以上にきれいな歌声を聞かせてくれる。道具も音楽も人間の専売特許ではない。 特に群れを作る高等動物にとって […]

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院外茶話
看取り

出立 義父は瀬戸内海の小さな島に生まれた。能美島という。お寺の九男坊で、長男が跡を継ぎ、義父は医師になった。尾道で長らく皮膚科の医院を開業して、88歳の時に医院を閉じた。義父が尾道を出立したのはその翌日。小さな鞄一つで我 […]

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こころの生い立ち
こころの12:心の誕生

脳の誕生 地球上に現れた最初の生物はシアノバクテリアで、それは40億年も前の話。ただ、この単細胞の生物も突然現れたわけではなく、もとは糖やリン酸を含む小さな分子であった。これが連なって大きな遺伝子となって、この遺伝子を膜 […]

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こころの生い立ち
こころの11:心のルーツ

進化と心 カッコウはホオジロやオナガなど、他の鳥の巣に卵を産んで、孵った後の子育てもまかせきり。こんな具合だからカッコウは、一生自分の親に会うことはない。そのカッコウの雛は成長をすると、また別の鳥の巣に卵を産む。親に教わ […]

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院外茶話
緑内障5:高齢者の場合

高齢者の緑内障治療 若い人は早期発見と早期治療。年をとったら生涯通院を続けて検査と目薬。緑内障の話題は紙面やネットにあふれていますが、中でも公の学会や医師会の情報が比較的公平で、よく整理をされていると思います。ここでは、 […]

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こころの生い立ち
こころの10:心の芽生え

生殖細胞と体細胞 赤ちゃんの誕生は卵子と精子が合体するところから始まります。この受精卵は分裂を始めて1個の細胞が2個、2個が4個、4個が8個と、猛烈な勢いで増えていきますが、どれも同じような細胞ばかり。一つ一つの細胞が将 […]

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院外茶話
仮屋村の和尚さん

仮屋のお寺 源頼光が大江山に住む大蛇を退治に行く途中、若狭に仮の陣屋を設けて3年間滞在した。その地を仮屋村と言う。妊婦が出産のときに一時的に籠ったり、あるいは不浄とされた月経の数日間、籠ったところを仮屋村という。何が本当 […]

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院外茶話
仮屋村のふみちゃん

熊川から 京は遠ても十八里。小浜でとれた新鮮な鯖は傷まないように、ひと手間かけてから若狭街道を通って京都に運んでいた。 途中必ず通るのが熊川の宿場町で、その熊川が最も発展したのは江戸の初期。魚に限らず米や豆や様々な物資を […]

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院外茶話
仮屋村のてる婆さん

嫁に来て 我が家はもともと若狭の仮屋村にあった。小浜から10キロほど離れた山村で、てる婆さんは隣村の熊川から嫁にきた。馬に乗って。  婆さんはここで9人の子を設けて、その長男が私の父。しかし当時は満足に育たない子供が多く […]

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こころの生い立ち
こころの9:氏か育ちか

蛙の子は蛙 三国連太郎は勲章ももらった名優だけどあまりに奔放な人生で、家族にはずいぶん迷惑をかけた。子供の佐藤浩市はそんな親を嫌って長い間、口も聞かなかったそうだけど、気がつけば俳優になっていた。似たような諺があって「こ […]

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院外茶話
緑内障4:白内障手術体験

手術の決意 緑内障シリーズですが、私が受けたのは白内障の手術なので、今回はその体験記です。 白内障は水晶体が濁る病気で、手術以外に治す方法はありません。では、どうなったら手術をするか。手術を行う時期は人それぞれで、細かい […]

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こころの生い立ち
こころの8:自分探し・科学編

人の中心 トカゲは追われると尻尾を切って逃げる。タコはあまり空腹になると自らの足を食べる。もし足一本で満足しない場合、二本目の足を食べて、またその次を食べて、最後にはどこが残るか。話はタコだから謎々のようだけど、これが人 […]

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自由が丘の眼からうろこ
自由が丘遺産3井戸

井戸巡り 渋谷から自由が丘に引っ越してきたのは昭和34年。今でこそ若者や外国人に人気の渋谷で、大規模な再開発の途中だが、当時はまだまだ戦後の面影を色濃く残す街であった。 小学校の屋上は焼夷弾が落ちた跡で凸凹。あちこちに空 […]

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こころの生い立ち
こころの7:自分探し

自分とは仁義 自分探しと言いながら、戦渦のイラクに出かけて殺された青年がいた。おそらく目的を達する前に死んでしまったか、あるいは直前にこれが自分だと思ったかもしれない。近しい人はどんな思いをしたことか。自分探しが流行り始 […]

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こころの生い立ち
こころの6:鶏と卵

どちらが先か 鶏が先か、卵が先か。大昔から人々を悩ませてきた問題だが、その判断は見る者の立場によって大きく変わる。哲学者はプラトンもアリストテレスも似たような見解で、それはどちらが先というより、鶏も卵も本質は同じものであ […]

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自由が丘の眼からうろこ
九品仏3:閻魔様

忌中 九品仏の総門をくぐるとすぐ左側に閻魔堂がある。その手前には橋がかかっていて、下を流れるのは三途の川。こちら側が現世で此岸。川を渡ればあの世で彼岸である。そこに焔魔堂があって、中央にはもちろんひときわ大きな閻魔様。左 […]

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自由が丘の眼からうろこ
九品仏2:白鷺草

四季 世田谷の浄土宗浄真寺は通称九品仏。かつて奥沢城だったものが念仏道場に変わって三百余年の歴史をもつ。参道に入ると両脇に松が並び、寺に近づくにつれて欅、いちょうが混ざって、秋になると松の濃い緑もくすんでくる。般舟場とか […]

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